2015.9.1
もっと知りたい!!消防車大図鑑「高所活動車」
●所属:神戸市消防局
デッキにはかぎ付きはしごを搭載。高さが足りない場合はこれにより補完します。
高性能なコンパクト車両!
ゆとりの大型デッキ
神戸市消防局では全4台の高所活動車を運用していますが、このうち2台は塔体+バスケットの仕様。そして2台が大型デッキ仕様になっています。同車はこの広さを活用し、上階からの同時多数救出や、空中での活動スペース確保、担架収容した要救助者の迅速な搬出などに対応します。また、大型デッキには操作ボックスや放水関連ユニットに加え、照明装置を搭載。夜間の現場では照明車としての役割も果たします。
あらゆる所に自由自在
高所活動車と呼ばれるこの車両は、中層建物における災害に対して広いデッキに乗り込んだ隊員が放水・救助・照明といった様々な活動を効果的に行うことが可能です。このデッキも斜め上下左右へのピンポイント移動が可能。デッキの旋回機能を活用し、建物面に対してデッキを水平に設定することで隙間を減らし、要救助者がデッキに乗り移る際も不安感を与えずに済みます。
発電機で電源供給
デッキに備えた照明装置などに電力を供給するため、キャブの背後に大型の発動発電機を搭載しています。通常の消防車両であればスカートボックスなどに搭載するところですが、車体サイズや積載キャパの関係からそれは困難。そこで、積載スペースなどに影響を与えない場所として、フロント側アウトリガの上部に発動発電機を逃がしています。
車両解説
神戸市消防局では15m・30m・50mという3タイプの直進式はしご車を採用しています。これらは文字通りの「梯子(梯体)」を背負った車両。そしてはしご車とは一線を画す存在として採用しているのが高所活動車です。同車は建物の3階に相当する15m程度の高さに対応する車両で、梯体ではなく塔体をもつのが特徴。いわゆる建機系消防車で、建機メーカーの高所作業車に消防車艤装メーカーが最終艤装を行い完成させています。15mはしご車を保有するにもかかわらず、あえて同等の15m高所活動車を採用しているというのがポイント。はしご車であれば全長7200mm程度となるところですが、高所作業車の場合は構造的にコンパクト化が可能で、全長6650mm程度に抑えることができます。狭隘路が多い神戸市にとって、これは頼もしい性能。そこで、よりコンパクトな高所対応車両として高所作業車も採用しているのです。
実車データ
●車名/日野 (通称名:デュトロ)
●シャーシ型式/PB-XZU413M
●全長/6,650mm ●全幅/2,150mm
●全高/3,540mm ●車両総重量/7,980kg
●総排気量/4,728cc ●原動機型式/J05D
●駆動方式/4×2 ●ホイルベース/3,430mm
●最小回転半径/5.8m ●乗車定員/2名
●艤装メーカー/吉谷機械製作所
●配備年月日/平成16年度
SUMMER 2015/FIRE RESCUE EMS vol.70