2019.9.1
【救急トピック】 民間団体との協働事業 「心肺蘇生法と命の尊さを学ぶ授業」の導入
救急車が到着するまで、その場に居合わせた人にしかできないことがあります。救命手当は一人でも多くの人が身につけておき、いざというときに誰でもすぐに対応できるような、幅広い年代への地道な普及活動が大切になってくるのです。そうした救命手当普及活動の成功例の一つとして、群馬県前橋市の取り組みをご紹介します。
前橋市消防局と民間団体「群馬PUSH」が連携にいたるまで
かねてより市内小中学校で心肺蘇生法講習会を開催していた前橋市消防局では、講習会の開催を担当できる職員数の不足を感じていました。また、災害対応以外に講習会のための人員を割くことが、ひいては時間外勤務の増加などの負担に繋がる点も課題として懸念されていました。
一方、同地域で心肺蘇生法普及の重要性に着目し、胸骨圧迫とAEDの使用方法を学べる教育プログラム「PUSHコース」の普及活動および指導者の養成に取り組んでいた民間団体「群馬PUSH(※)」は、地域の学校の授業で「PUSHコース」を取り入れてもらうことがなかなか思うように進まないことを苦慮していました。
協働事業の開始
転機は平成28年度に訪れます。両者は『市内小中学校への「心肺蘇生法と命の尊さを学ぶ授業」の導入』を協働事業として開始。前橋市消防局は、プログラムとして完成された「PUSHコース」の導入を学校教育機関に促し、あわせて資器材の導入を行います。そして、「群馬PUSH」は、消防職員だけでは賄いきれなかった人数の指導員を教育現場に派遣することで相互に足りない部分を補いあい、心肺蘇生についての正しい知識の普及という同じ目的を叶えることができたのです。
「PUSHコース」協働開催の実績
2年間で計87回実施された「PUSHコース」の受講者数は9,044名にのぼり、現在も前橋市では市内小中学校で心肺蘇生法の協働授業を続けています。多くの子どもたちがこの授業を受けることで、心肺蘇生についての正しい知識と命の尊さについて学んでいます。