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2020.3.2

消防学校
FIRE REPORT 消防人 千葉県 千葉県消防学校

FIRE REPORT #153 我ら生涯消防人 第8巡「千葉県消防学校」

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千葉県消防学校

千葉県消防学校

千葉県消防学校
千葉県消防学校は移転新築によって平成31年に全面供用が開始された新しい施設。年を追って複雑・大規模化する災害への対応力を磨くべく、約62,000m2の広大な敷地に多様な状況をシミュレーション可能な最新の訓練施設を揃えた。また、企業や地域の自主防災組織等を対象とした防災研修を行う防災研修センターの業務も開始した。

り複雑・多様化、大規模化していく災害へ 的確に立ち向かえる消防職員を育成する。
総合訓練塔1
総合訓練塔2
ひときわ目を引く高さ40mの訓練塔を備えた総合訓練塔。1階と5階には模擬消火訓練施設(AFT)があり、実火消火訓練や火災調査訓練が可能となった。
地下街・トンネル訓練施設
地下店舗やトンネル等での救助訓練を行う地下街・トンネル訓練施設。千葉県はアクアラインをはじめトンネルが多く、災害対応力充実のために設けられた。
トンネル訓練施設
トンネル訓練施設には消防車両の乗り入れが可能。また、タンパク系消火薬剤を無害化するシステムが導入されており、泡消火薬剤も使用可能となっている。
市街地救助訓練塔
市街地特有の各種災害を想定した訓練ができる市街地救助訓練塔。傾斜地、マンホール、水没道路などさまざまな状況を再現可能となっている。
水防訓練場
震災訓練場を使ったCSR訓練に臨む初任科学生たち。近年増加傾向にある大規模水害に対処する水防訓練場も整備された。
訓練の様子
崖からの車両転落事故を状況設定した訓練の様子。本物の車両を使い、より実際の現場に即した訓練が実施可能。
救急実習室床下
より実践的な救急活動訓練をめざして整備された救急実習室床下にはマスク接続可能な配管が設けられ、室内に車両も乗り入れられる。

時代に即し、宿泊棟の居住性も大幅に向上

宿泊棟
居室
240人が収容可能な宿泊棟。従来の二段ベッドが並ぶ居室から、1人ずつパーテーションで区切られた個別空間を持つ6人部屋へと進化している。また、廊下の仕切扉をフレキシブルに使用することで、人数に応じて女性専用フロアを簡単に設定できる作りとなっている。
令和元年、台風15号・19号時の支援も実施

千葉県消防学校には防災備蓄倉庫が併設されており、令和元年の台風15号・19号による被災時には県内の市町村へ食料や飲料水、ブルーシートなどの物資搬出を行った。また、近隣で発生した停電や断水への対処として、学生生活に支障が出ない範囲で宿泊棟の浴室を一般開放。延べ190人が利用し、その疲れを癒した。

備蓄倉庫

備蓄倉庫は階建。小荷物昇降機やシューターを完備しており、迅速な物資の搬出・搬入が可能。

消防学校で出会った教官とルーキー、“消防人”として、それぞれの想い。

自分で限界を作らない。挑戦を続けることで可能性は必ず広がる。千葉県消防学校 教務第一課 白坂 幸子

「教える」「学ぶ」という 環境の変化を実感

平成31年の4月から千葉県消防学校で初任科を担当していますが、私自身が初任科の学生だったころと比べると、いろいろな部分で違いを感じます。
「教える」という面では、まず環境の整備が大きいです。学校自体が新しいこともあり、最新の設備で幅 広い訓練が可能ですし、資器材だけでなく技術面でも常に情報をアップデートしながら教育しています。また、「学ぶ」学生側にも変化を感じます。今の初任科生は頭脳明晰な優等生が多く、言われたことをきちんとやろうとする意思を強く感じます。反面、応用力が少し足りないのか、事前に得た情報以外の状況になったときに動けないという部分も散見されます。したがって、ときには訓練の際にまず講義を行い、論理的に理解をさせた上で実技に移るという方法もとっています。「なぜか?」を問いかけ、目的意識を持つことや考える習慣を身につけることが初任科の学生に必要なことの一つ。そして自分たちの活動の先に何があるのかを理解して卒業していく姿を見ることが、教官としての喜びです。

先輩方の切り拓いた道を大切に歩んで欲しい

私が新人のときに何より大きかったのは、厳しくも指導していただいた教官や先輩の存在でした。その経験があるので、訓練はもちろん、訓練外でも伝えるべきことは伝えます。うまく伝わらない学生へも諦めずに愛情を持って接するようにしています。男女を問わず、女性教官だからできるアドバイスもあると思っています。女子学生に知ってほしいのは、今の当たり前があるのは、私よりも先輩方の努力のおかげだよ、ということです。これからも、女性職員の活動の場は必ず広がります。そのなかで、若い彼女たちには今までにない不安や重圧があると思います。しかし、限界を決めずにどんどんチャレンジしてほしい。彼女たちが歩いた足跡が、いつか道になります。もちろん私自身も、一歩一歩前へ進んでいけるよう頑張ります。

「七転び八起き」。今だからできる失敗を成長の糧に。169期初任科 第6代大隊長 澤瀬 香穂

充実の環境で励まし合いながら学ぶ

救急の仕事に興味を持ったことがきっかけで消防職員を志しました。学生時代に陸上をやっていたので体力には多少自信がありましたが、やはり消防学校の訓練は厳しく、同期と励まし合いながら臨んでいます。消防学校の第一印象は、とても充実した環境だということでした。設備や資器材は新しく、宿泊棟もプライベートが確保されていて、とても過ごしやすく感じます。この環境で学ぶことができるのは本当に恵まれていると思います。また、女性の教官がいらっしゃるというのも大きいです。白坂教官にはさまざまなことで相談に乗っていただいています。訓練中は当然厳しいですが、常に学生のことに気を配っておられるのが分かり、頼れる存在です。

守れる消防士に頼られる消防士に

私は消防学校に入る前に1年半、所属を経験していますので、周りと比べて年長となります。しかし最初のころは自分のことで精一杯で視野が狭かったと感じます。大隊長として名をまとめる経験を経て、少しずつ気持ちの余裕も生まれ始めましたが、それも仲間たちと協力し合えたからだと思います。今はまだ半人前ですが、将来は市民を守り、仲間を守り、そして部下を守るために自信を持って行動できる、頼られる消防士をめざしています。そのために、今現在のこの環境を少しも無駄にすることなく、自分の成長の糧としていきたいと思います。

女性消防職員
総務省消防庁は、全国の消防職員における女性の比率を平均で現在の約2.7%から5%に引き上げる目標値を掲げている。今後、女性消防職員の活躍の場は確実に広がっていく
【取材協力】
千葉県消防学校/〒290?0007 千葉県市原市菊間783?1
https://www.pref.chiba.lg.jp/shougaku/


2020/FIRE RESCUE EMS vol.90

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