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2017.7.3

消防ヘルメット
消防ヘルメットコレクション FIRE HELMET COLLECTION

命の絆No.50 連合王国(ユナイテッド・キングダム)ウェスト・ヨークシャー消防

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命の絆 消防ヘルメット

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THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 

No.50 連合王国(ユナイテッド・キングダム)ウェスト・ヨークシャー消防 クロムエルF500型 FRPヘルメット

 
 イングランド北部、ロンドンからインターシティ特急で約2時間の位置にあるヨーク。城址や大聖堂など世界歴史遺産が多く、中世を想い起こさせるのに十分な雰囲気をかもしだしている。

連合王国の消防事情は、1986年に自治体の構造改革が行われ、イングランドでは7つの地域において大都市圏消防事務組合で運営されるようになった。今回取り上げるウェスト・ヨークシャーも、大規模消防機関としてメトロポリタンファイアサービスと称されている。

ウェスト・ヨークシャーには5つの特別行政区(リーズ、ブラッドフォード、カルターデール、カークリーズ、ウェークフィールド)があり、消防体制は各特別行政区をファイア・ディストリクトとして、48署所に1,302名の消防職員と60輌の消防車を配置している。5つの特別行政区内の総人口は2012年8月の時点で2,249,500人、火災は704件を数えている。

紹介するヘルメットは1986年から生産され、ウェスト・ヨークシャー消防が採用していた「クロムエルモデルF500」である。もちろん、ブリティッシュ安全規格3864をクリアし、従前使用していた皮革製(自治体構造改革前のヘルメットとして先に紹介したカークリーズ地方のデューズバリー消防のヘルメットを参照:第32回掲載済)に比べて軽やかさ、カラーリングの明るさなど、すっきりしたものとなった。帽体シェルはSMCで前庇に円みがあり、後庇はやや角ばったカーヴをなしていて、正面は高い台形をもって構成。帽体頂部は低目で、帽周は黒のゴム系クッション材をめぐらせている。顔面保護用のクリア・バイザーは大きく、ヘルメット両側で支えている。

ヘルメットの紋章は消防八稜星の中にヨーク家の象徴の五弁の白バラとWESTの頭文字のWを二色に分けたデザインをシールにして貼っていた。この美しいヘルメットの贈り主はリーズ特別ディストリクトの13消防署(クックリッジ、ガーフォース、ギプトン、ハンスレット、リーズ、ムーアタウン、モーリィ、オットリイ、ロードン、ロスウェル、スタンクス、スタニングリィ、およびウェザビイ各消防署)のいくつかに在勤したレイ・バンヤード氏で、1992年10月20日に届いた新しいものであった。

このディストリクトに配置されていたのは18輌の消防車と392名の消防隊員。人口75万人のリーズ・ディストリクトでの2012年8月での火災は204件と発表され、ことにその年の夏、8月14日は大規模な河川流域の氾濫があって水難救助活動に大わらわであったとのことが便りに記されていた。

なお、現在、ウェスト・ヨークシャー消防はISO規格に基づくヘルメット「クロムエルF600型」を採用して災害現場に臨んでいる。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



SUMMER 2017/FIRE RESCUE EMS vol.78

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