2021.7.21
FIRE REPORT #番外編 北九州市消防局 「第49回全国消防救助技術大会出場へ向けた意気込み!」
令和3年10月9日(土)に、福岡県北九州市にて開催される予定だった第49回全国消防救助技術大会が中止となりました。
この大会出場へ向けて訓練を積み、準備を重ねてこられた全国の消防職員の皆さま、および大会運営関係者さまにとりましては大変残念な決定と存じます。
大会が開催された場合、当社カタログに掲載して全国の皆さまにお伝えする予定だった北九州市消防局職員の大会出場に向けたアツい意気込みをWEB記事限定ではございますが、ご紹介させていただきます。
大会スローガンについて「環~つなぐ~」
大会スローガンについて
「環~つなぐ~」
工業都市として日本の近代化と高度成長を支えた北九州市は、それにともなう大気汚染や工場排水による環境問題に対峙し、市民・企業・行政が一体となって克服してきた経緯を持つ。今、北九州市は「環境未来都市」「環境モデル都市」として選定されるほど先駆的な成長を遂げ、高い目標を掲げた取り組みにチャレンジし続けている。
第49回全国消防救助技術大会のスローガンは、この開催地となる北九州市を象徴的に表す「環」に「つなぐ」というサブタイトルを添え、消防救助隊員の人命救助にかける情熱や救助技術を磨き、学び続ける意思を未来へ引き継ぐという決意を込めたものとなる。
「環」に込められた3つの思い
災害現場において、被災者と消防救助隊員の命を守るための救助ロープや救命浮環の「わ」
近年多発する大規模で特殊な災害に対し、広域消防応援や緊急消防援助隊として活動する際に重要となる消防職員の絆の「わ」
全世界の共通目的である、SDGs(持続可能な開発目標)に関するさまざまな取り組みを象徴するカラーホイールロゴの「わ」
北九州市小倉北消防署 所属
「明るく、楽しく、元気よく!」をチームモットーとし、救助技術大会を通して災害活動に必要な技術、体力、精神力の習得を目的に毎日の訓練に励んでいます。
北九州市門司消防署 所属
私たちの所属する北九州市門司消防署は、引揚救助で過去幾度も全国消防救助技術大会に出場を果たした伝統ある消防署。多くの先輩方が築いてきた高い精神力や技術力を学び、私たちのチームは成長してきました!
門司消防署警防課警防第一係
福井 良 消防士長
帰ってきたレジェンド
小倉南消防署に「レジェンド」と呼ばれる人物がいる。そんな噂を耳にして、その張本人にコンタクトをとらせていただいた。なんと、再任用職員でありながら、今まさに全国消防救助技術大会出場をめざし、日々訓練に明け暮れていたのだ。「レジェンド」と周りに言わしめるその人に、胸中を聞かせてもらった。
小倉南消防署警防課 警防第一係
大濱 久幸 消防士長
PROFILE
- ▶︎昭和54年4月(20歳当時)採用。昭和57年3月まで警防小隊に所属
- ▶︎昭和57年4月から平成6年3月まで救助隊に所属
- ▶︎平成6年4月から平成27年3月まで水難救助隊に所属
- ▶︎平成27年4月から平成31年3月まで警防小隊に所属し退職
- ▶︎平成31年4月から再任用(60歳当時)。
警防小隊所属、機関員として勤務。現在にいたる
北九州市で全国救助大会が開催されたのは平成7年度と平成20年度の2回。この2回とも私は北九州市代表で出場させていただきました。そのときに残した成績は、平成7年度全国2位、平成20年度全国13位。今回の地元開催を機に、私自身も3度目の代表出場を奮起し、老体にムチ打ちながら頑張っています。
救助大会訓練参加種目
- 障害突破
- ロープブリッジ救出
- ロープブリッジ渡過
- ロープ自力登はん
- ロープ応用登はん
このうち、ロープ自力登はんロープ応用登はんの2種目は35歳からの取り組み!
現在は「ロープ応用登はん」出場をめざし絶賛訓練中!
「レジェンド」という呼び名に気付いたのはいつごろから?
50歳を過ぎた辺りだと思います。昔はレジェンドという言葉自体あまり聞き慣れなかったのですが、スキージャンプの葛西紀明選手が若手を抑えて優勝した際にこのレジェンドという言葉が世の中に出てきたように記憶しています。おそらく似た環境に身を置く私を、周囲が葛西選手同様にレジェンドと称し始めたのがきっかけでしょうか。
体力と頭脳、持てるすべてを求められる消防という職務をこうしてまっとうできているわけは?
警防業務と並行して救助技術大会訓練をこの年齢までやってこれたのは、ひとえに職場の同僚、上司による理解と支援協力があってこそと思っています。それに対しては深い感謝の気持ちでいっぱいです。また、家族は影ながら食事などで健康の面に気を配ってくれたりといつも応援してくれていました。自分の周りにいてくださる皆さまのサポートがあってこそ、現在の自分があると思っています。
消防救助技術大会を制するには?
共通するのは、どの種目も体力がいるということ。バテない身体を作ることが一番だと思います。
消防救助技術大会とはズバリどのような存在?
自分自身(心技体)を鍛えてくれる存在です。
レジェンドが描く「理想の消防士」とは?
救助大会の成績が優れているだけでは本当の消防士とはいえません。私の考える理想の消防士は、背中で若手に消防士のあり方を伝えることができるような人物。現場活動や事務仕事、市民への対応で若手の模範となるような消防士です。
ずばり、あなたにとっての「オレンジ」とは?
駆け出し当時の私は、いわゆる「オレンジ服」への憧れなどはとくにはなく、異動希望もしていなかったのですが、昭和57年の異動内示で救助隊に任命され、このオレンジ色に袖を通すことになりました。災害等出動時、オレンジの服を着ているだけで周りの人たちの見る目がなんとなく違うのをやはり少なからず感じることになりました。それから数十年、人を助けることにひたすら注力し、今まで以上に自分自身を鍛え切磋琢磨する日々。退職まで一人でも人を助けることができるよう、そのために体力を維持して頑張ってきたつもりです。振り返ってみると、これぞオレンジの服がもつ不思議さだなぁと思う今日このごろです。
最後に、志を抱く全国の仲間へエールを!
「自分自身に限界をつくらないこと」
北九州市消防局/北九州市小倉北区大手町3-9