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2015.9.1

消防本部・消防署
神戸市 FIRE REPORT 神戸市消防局

FIRE REPORT #132 神戸の今と未来を守る。神戸市消防局

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神戸の今と未来を守る。神戸市消防局

所在地/兵庫県神戸市中央区加納町6丁目5-1神戸市役所4号館 危機管理センター 3F
約150万人の人々が暮らす神戸市。約550平方キロメートルに及ぶ市域を擁し、また、1868年(慶応3年)の開港によって近代化の第一歩を踏みだし、港を通じて海外からの文化を取り入れるなど、同市は神戸港とともに発展してきた都市といえます。
神戸市といえば世界有数の港が広がり、南北に狭く東西に長い市街地をイメージしますが、市域中央部の六甲山地といった山林や北神地区の農村部が占める面積も広く、山と海に市街地が挟まれた、都市構造が凝縮された街といえます。そんな神戸市を災害から守るのが神戸市消防局。本部及び市内9区に10消防署・1分署・18出張所を配置し、約1500名の職員で幅広い防災活動を行っています。


記憶をつなぐ。

平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災により、神戸市では4,571人(神戸市内)もの尊い命が奪われ、焼損面積819,108平方メートル、全焼6,965棟という甚大な被害に襲われました。当時、発災と同時に神戸市消防局の119番回線はパンク状態に陥り、また、消防庁舎も3署1出張所が破壊され、その機能を失いながらも職員は懸命の努力で活動を行いました。
以降、神戸市では阪神・淡路大震災での経験を活かし、消防防災について様々な取り組みを活発に行っています。しかし、震災から20年が経過した現在、いわゆる団塊世代の大量退職などの影響による職員の若返りも加速。消防職員としてはもちろん、震災そのものを経験していないという職員が約半数を占める状態になっています。そこで、震災での経験や、そこから得た知識などの伝承が急務となっています。消防学校での各種教育はもちろん、現場レベルでも所属教養にて先輩隊員が若手に当時の活動を伝え、どのようなことが起こり、どう対処したのか、現在ならどう活動できるかといったディスカッションを行っています。
あの日を忘れず、今後数十年のうちに必ず発生するといわれている南海トラフ巨大地震から神戸を守るため、記憶をつなぐための努力が行われているのです。

海と山に囲まれた港町、こうべ。

神戸市消防局
写真提供:神戸市消防局

震災により使用不能となった葺合と生田の2消防署を統合して平成12年に建てられた中央消防署。準消防本部機能を備えるとともに、上階には大災害時の初動体制の確保を目的にマンション型職員待機宿舎を完備。幹部用10室と職員用100室が確保されています。

神戸市消防局
写真提供:神戸市消防局

阪神・淡路大震災では発災直後に市内各地で火災が発生。倒壊した家屋に次々と燃え移った。

 


心肺停止の患者に対し、特定2行為を全国に先駆けて実施

平成26年1月31日に「救急救命士法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、4月1日から施行されました。これにより心肺機能停止状態ではない重度傷病者に対する救急救命士の処置として、「1.血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」「2.肺機能停止前の傷病者に対する静脈路確保と輸液」の特定2行為が認められました。
神戸市では処置拡大の検討段階における「救急救命士の処置範囲に係る実証研究」に協力。実証研究に参加した救急救命士に、前述の2項目について医師より講義、実技指導を受け、兵庫県メディカルコントロール協議会の認定を経て、平成26年4月1日から運用を開始しました。現在、兵庫県内では神戸市のみが運用を開始しており、計124名の認定を受けた救急救命士がほぼ全ての救急隊に乗務しています。

神戸市消防局
処置拡大に伴う研修風景

神戸市消防局運用開始後、多数の症例が拡大処置に該当。特に血糖測定とブドウ糖溶液の投与では、低血糖状態と判断された傷病者に対しブドウ糖溶液を投与した後、傷病者の意識状態が劇的に回復したという症例や、以前は意識障害の原因が脳卒中によるものか、低血糖によるものかの鑑別が困難でしたが、血糖測定が可能になったことにより搬送先医療機関の選定がスムーズに進められたといった事例が報告されています。
血糖測定の訓練


大規模災害対応救急隊「BLUE-CAT」

大規模災害発生時に消防機関と医療チームとの連携・調整を行う役割を担うとともに、救急隊の指揮を担う専門の救急隊として、神戸市消防局では大規模災害対応救急隊BLUE-CAT(愛称:ブルーキャット)を平成18年10月1日に発隊させ、水上消防署に配置しました。同隊には通常の高規格救急車の設備に加え、医療機関の傷病者受入情報を閲覧できる兵庫県広域災害・救急医療情報システム(パソコン・携帯電話等)を積載しています。
大規模災害対応救急隊は、これから得られる情報を活用して迅速な搬送を指揮するほか、医療チームのトリアージや治療などを効果的に行うことができるようにするなど、災害現場において、限られた医療スタッフ、救急隊などが体系的に有効かつ効果的に活動することができるよう、各チームの活動を調整する役割を担います。
神戸市消防局
発隊以降、平成27年3月31日までの間に88件出動している。


第44回全国消防救助技術大会

44TH NATIONAL RESCUE MEET IN KOBE
第44回全国消防救助技術大会

本年度は、11年ぶりに神戸市で開催

平成27年8月29日に行われる第44回全国消防救助技術大会は、11年ぶりに神戸市で開催されます。この大会は全国9地区での予選会(消防救助技術指導会)で好成績を残した救助隊員が集結し、各種救助技術を競うというもの。第44回大会は神戸学院大学ポートアイランドキャンパス(陸上の部)と神戸市立ポートアイランドスポーツセンター(水上の部)で行われます。取材に訪れた4月中旬は、神戸市消防局内での選抜大会直前の時期。市民防災総合センターでは、全国大会の前哨戦である近畿地区指導会出場を目指す若き隊員たちが熱心に訓練を行っていました。

近畿地区指導会に向けて訓練に励む隊員たち

各種訓練
神戸市消防局
救出訓練
新神戸駅に直結されたハーブ園山麓駅とハーブ園山頂駅とを結ぶ「神戸布引ロープウェイ」において、南海トラフ巨大地震を想定し、ゴンドラから乗客を救出する訓練を実施。

神戸市消防局
流水救助訓練
河川における流水救助訓練の様子。あらゆる場面から救い出すためのスキルを養う。

神戸市消防局
ショアリング
倒壊建物安定化に必須であるショアリング。こうした近代手法の訓練にも余念がない。

神戸市消防局
捜索救助訓練
震災を想定した捜索救助訓練。瓦礫の下の要救助者を探す。

 

火災予防のための実験動画を発信!!

よりわかりやすく市民に火災などの危険性を伝えるため、神戸市消防局では実験動画を作成し、YouTubeで公開し情報発信を行っています。天ぷら油火災やトラッキング現象、表面フラッシュといった内容はもちろん、近年問題になっているカセットコンロの誤使用にともなうボンベ破裂、電気ストーブに可燃物が接触しての出火事例、そしてタバコなどの微小火源が招く火災の実態などを、実験動画により詳細に紹介。言葉や資料だけでは伝わりにくい火災の恐ろしさをリアルに感じることができるよう工夫しています。

神戸市消防局では実験動画を公開中!

神戸市消防局神戸市消防局


神戸市消防局

■消防局実験動画
> https://www.youtube.com/playlist?list=PLYLG4KN19GSvFYHNqlSPCujsVdKKkEpou

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防災福祉コミュニティ

神戸市消防局
小学校区単位で組織された防災福祉コミュニティ。地域によっては、中学生の防災ジュニアチームもある。

神戸市では昭和60年から「自主防災推進事業」を推進し、概ね小学校単位で神戸市内166地区に「自主防災推進協議会」が結成されていました。この協議会では、防災知識の普及や防災意識の啓発のための活動を主に行い、初期消火や救出・救護、避難誘導等の災害活動の位置付けが弱かったため、阪神・淡路大震災時には組織的に活動ができない地域がありました。そこで、災害活動についても取り組みを強化し、平成7年度から防災福祉コミュニティ事業をスタート。平成9年度からは本格的に結成を図り、現在では防災福祉コミュニティが神戸市内全域の計191地区で結成されています。
防災福祉コミュニティでは、それぞれの地域の特色を活かした形で、隣近所での消火器の取り扱い訓練、子ども達に震災教訓を伝える取り組み、大規模な地震対応の総合訓練や津波避難訓練など、災害活動につながる訓練を実施しています。

神戸市消防局
防災福祉コミュニティでは地域にあわせた活動を展開。写真は海抜表示の設置を行っているところ。

 


SUMMER 2015/FIRE RESCUE EMS vol.70

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