2015.9.1
FIRE REPORT #133 神戸市消防局 特別高度救助隊 スーパーイーグルこうべ
神戸市消防局では市域を5つのブロックに区分し、第1~5方面としています。そして各方面に1隊ずつの専任救助隊(いわゆる第四条救助隊)を配置、専任救助隊が配置されていない消防署には署救助隊(いわゆる第二条救助隊)を配置し、計11の救助部隊で救助事案に対処しています。
このうち、第2方面専任救助隊を兼ねているのが、神戸市消防局の特別高度救助隊(いわゆる第六条救助隊)である「スーパーイーグルこうべ(SEK)」です。平成16年の台風23号による水害や、平成17年のJR福知山線脱線事故などを受け、神戸市消防局では平成18年4月にSEKを発足。1隊6名×3部制の計18名で編成し、隊員は5年以上の専任救助隊の経歴があり、災害現場での経験と知識が豊富なエキスパート隊員を選抜しています。同隊は中央消防署に置かれていますが、組織上は本部直轄部隊という位置づけとなっており、所属は消防局警防部となります。
SEKは通常、第2方面専任救助隊として中央消防署管内をはじめとする第2方面での救助活動に従事していますが、特異災害等に対しては市内全域をカバー。また、緊急消防援助隊や国際消防救助隊にも登録されており、日本国内はもとより海外での災害にも対応します。
助特災中隊長
特別高度救助隊と特殊災害隊の2隊を総括する救助特災中隊長が置かれており、イーグルステッカーを掲げたオレンジ色の防火帽を着用する。
救助工作車
神戸市の救助工作車には「鷲」のモチーフが白色で描かれているが、SEK運用車両の「鷲」はシルバー。夜間でも目立つよう反射材を用いている。
左:積載庫の状況。積載位置に関しては全救助工作車(専任救助隊の運用車両)で統一しており、隊員が異動しても感覚的にすぐに扱えるよう配慮されている。
右:交通救助等に用いる大型油圧救助器具に加え、山岳救助等に必要なロープ類、水難救助のためのウエットスーツやボンベなど、神戸の山・海・街に対応する様々な装備を搭載している。
NBC訓練
NBC災害を想定した訓練の様子。災害発生時はSEKと特殊災害隊が連携して活動を展開する。
クリビング訓練
角材をやぐら状に組み重ね、進入スペースや救出スペースを確保するクリビングの訓練。
ブリーチング訓練
解体予定の学校校舎を活用し行われたブリーチングの訓練。エンジンカッターにより床面を破壊し突破を図る。
電磁波探査装置
電磁波探査装置の取り扱い訓練の様子。瓦礫内部を映像により探査し、要救助者を発見するための装備。
地震警報機
P波と呼ばれる地震発生時の初期微動を察知し、警報音などで知らせるための資機材。
電磁波探査装置
密閉空間に閉じ込められた負傷者の呼吸や心臓の動きを電磁波で察知する装置。
神戸市では特別高度救助隊発足以前よりNBC対応の専門部隊を立ち上げていたことから、NBC災害発生時にはSEKと特殊災害隊が連携して活動するスタイルを維持。本部直轄である2隊を総括する専任中隊長がおかれています。
特殊災害対策車
SUMMER 2015/FIRE RESCUE EMS vol.70