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2024.7.1

消防本部・消防署
FIRE REPORT 千葉市

FIRE REPORT #166 千葉市消防局緑消防署 特別高度救助隊

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千葉市消防局緑消防署 特別高度救助隊
集合写真

2024年8月23日に第52回全国消防救助技術大会が開催される千葉市。人口98万人の政令指定都市であり、省令によってより高度な技能・資器材を備えた特別高度救助隊が設けられている。千葉市消防局の特別高度救助隊は2007年の発隊と同時に緊急援助隊派遣指定部隊(統合機動部隊・NBC即応部隊・土砂風水害機動支援部隊)となり、国際消防救助隊(IRT)登録隊員11名を集中配置して、日々、救助技術の向上に努めている。

千葉市消防局特別高度救助隊

隊員数
16名(8名×2交替)
配置車両
救助工作車、特別高度工作車
海外派遣実績
5回(国際緊急援助隊救助チームとして)

第52回全国消防救助技術大会in千葉 開催日時2024年8月23日金曜日 陸上会場:千葉県消防学校 水上会場:千葉県国際総合水泳場 ぜひご来場ください!第52回全国消防救助技術大会in千葉 開催日時2024年8月23日金曜日 陸上会場:千葉県消防学校 水上会場:千葉県国際総合水泳場 ぜひご来場ください!

国際緊急援助隊としての海外派遣を視野に入れた訓練

特別高度救助隊は緊急援助隊派遣指定部隊であり、国際緊急援助隊として海外派遣される機会もある。その際、通常は個別に活動している消防・警察・海上保安庁の3庁が合同で活動を行うことから、統一された捜索・救助手法が「国際緊急援助隊救助チームField Operations Guide」(FOG)と「国際消防救助隊救助チームハンドブックStandard Operating Procedure」(SOP)に定められている。これにより海外の現場において、顔を合わせたばかりの隊員同士が共通認識のうえで効率的な捜索救助活動を展開できるようになっており、その手法は日ごろの訓練から用いられる。
なお千葉市消防局特別高度救助隊には、全国16万の消防職員のなかで20名しかいない国際消防救助隊指導員資格を持つ隊員が在隊しており、千葉市のみならず千葉県内消防全体のレベルアップに貢献している。

訓練塔を用い、中州に取り残された要救助者がいるとの想定でクートニーハイラインシステムを活用した救出訓練を展開。

訓練前に状況の設定と各隊員の役割、使用する手技等の詳細なブリーフィングを実施。訓練中も一つひとつの動作に対して確実な確認作業が徹底される。

進入した隊員は救急救命士の資格を持っており、実際に救急隊でも勤務している。全国599名のIRT隊員のなかで、同資格を持つのはわずか26名。救助現場で迅速な救命活動が実施できるメリットは大きい。

雨のなか、下方へのブリーチング訓練の様子。要救助者が開口部付近にいると想定される場合に選択されるクリーンブリーチングにあたり、ドリルでサーチングホールを開けているところ。

要救助者が付近におらず、迅速さが求められる場合に選択されるダーティーブリーチング。

開口部の違いがよくわかるコンクリート片。左がクリーンブリーチングで右がダーティーブリーチング。

隊員の活動を支える新型車両と装備資器材

2024年3月に更新された救助工作車Ⅲ型。前年に他部隊で更新された救助工作車に対する評価を共有することで新たな改善ポイントを洗い出し、仕様決定の参考とした。

仕様決定にあたって重視したのは収納の自由度。特別高度救助隊として積載する資器材は多岐にわたるため、使用用途によって大まかに分類積載できるようにレイアウトを工夫している。

車体左右を貫通する収納スペースがあり、ストレッチャーなど長尺物の収納に対応。ルーフにも長尺物専用の収納スペースが設けられており、後部からアクセスできる。

特別高度救助隊ならではの高度救助資器材が並ぶ。機能は変わらずとも小型軽量化が進んでいるのが近年の傾向。隊員は配置されるすべての資器材に精通することが求められる。

電磁波を利用してがれき等の中の生体反応を探知するレスキューレーダー。

水難救助における迅速性や隊員の安全に貢献する水中ドローンは新しい装備。

各種音響・振動センサーとディスプレイやヘッドホン、バッテリーなどがセットになった地中音響探知機。物をたたく音や振動、声を波形として表示したり集音したりし、要救助者の捜索に用いる。

救助活動中の二次災害を防ぐ地震警報機は感知震度の設定が可能。

360度全天球画像の撮影が可能な捜索救助用カメラ。

千葉市消防局緑消防署
鈴木 隆文 救助係長
(特別高度救助隊隊長 ※取材時)

一歩前へ踏み出せる部隊でありたい

特別高度救助隊はIRT登録隊員が11名揃っていることもあり、災害現場だけでなく、合同訓練や研修などでときには一人でさまざまな場所に行き、多くの人と関わる機会があります。そうした際、相手を尊重しすぎるあまり引いてしまうのではなく、むしろ一歩前に踏み出して周囲を鼓舞できるような隊員の集まりでありたいと常に思っています。率先して行動する姿勢が周りに刺激をもたらし、より多くの知識・技術の吸収につながります。経験を積んだ集団のなかで前に出ていくのは勇気が要りますが、そこは日ごろの訓練で自信を培うことで可能になります。
今現在、そうした資質を持った隊員が育ってきていることを実感しています。この“前に出る”姿勢を大切にし、千葉市だけでなく千葉県、そして全国でも目標とされるような部隊になっていくことをめざして日々の努力を継続していきます。

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