2024.7.1
FIRE REPORT #167 災害の多様化に対処せよ!!
大阪
守口市門真市消防組合
複雑化・多様化していく災害に対し、消防隊員の安全確保は急務となっている。この対策の一環として、守口市門真市消防組合では、2024年3月に新しい現場外套(防火服上下)を導入し、運用を開始した。
基本性能は「消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン(改訂版)」に準拠。さらに他消防本部の例も研究して組合独自の要求も仕様に盛り込んだ。安全性は当然ながら、従来破損しやすかった部位を容易に交換可能なシステムに変更するなどメンテナンス性にも配慮したものとなっている。
蓄光反射素材を初採用!
各部位に蓄光反射テープを縫い付けることにより、夜間および濃煙をともなう屋内進入時の被視認性が格段に向上した。光を受けて反射するだけの従来の素材とは異なり、蓄光性能を持つことで光源のない災害現場で自ら発光、隊員の位置を容易に把握することが可能となった。テープの位置は前後横、どこからでも視認されるように工夫されている。
※光源のない部屋にて撮影
都市部立地型消防庁舎の新提案
守口市門真市消防組合守口消防署は2023年5月に竣工したばかりの新しい庁舎。2018年の大阪北部地震でダメージを受けた旧庁舎に代わり、強固な耐震性能と訓練施設の充実、さらなる消防力の強化を目的に計画された。旧庁舎と比べて拡大した敷地により化学車1台、救助工作車1台が追加配備されるなど、地域における部隊の分散配置が実現。守口市の市街中心部、なおかつ国道1号という大規模幹線道路沿いという立地条件において、可能な限りのスペース有効利用やスムーズな動線設計に工夫がこらされている。
特徴的なのは立体的な訓練に特化したさまざまな訓練施設。6階はブリッジロープが設置可能になっている。
4階屋上に設けられたマンホール救助訓練用の出入口。CSR訓練用のコンクリート溝も設けられるなど、多彩な訓練施設がパズルのように組み合わされている。
マンホールは屋内へ通じる。検索救助訓練施設も屋内に設置。
庁舎裏側でも梯子やロープを使用した立体的な訓練を展開できる。移動することなく多種のメニューが実施できることから訓練効率は格段に向上した。
車庫へは庁舎表側と裏側、両方からのダブルアクセスで、車両入れ替えの時間節約にもつながっている。表側セットバックも広くなり、アプローチは格段によくなった。
研修室兼救急訓練室では市民向けの研修も開催。スペースが広がったことで見学者を受け入れる余裕ができ、結果、市民との距離も縮まった。
パーソナルスペースにも配慮
時代に合わせ、居住エリアにも配慮がなされている。仮眠室は個室で誰がどの部屋かも決まっており、ロッカーは専用。また女性職員専用エリアはナンバーロックによる完全な独立設計となる。複数あるシャワー室は時間の短縮に貢献。