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2025.4.30

消防本部・消防署
FIRE REPORT 福岡県 中間市消防本部

FIRE REPORT #169 すべては技術の向上による災害対応力強化のために
公費でのロープレスキューコンペティション参加

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すべては技術の向上による災害対応力強化のために 公費でのロープレスキューコンペティション参加

中間市消防本部

2024年10月6日と7日の2日間、日本で唯一の初級・中級対象のロープ救助競技会「縄救」と島根県益田市を拠点とした救助人サポートチーム「SPEC」がコラボしたロープレスキュー錬成会「SPEC×縄救2024」が島根県益田市で開催された。
この錬成会に消防本部の正式な予算で参加したのが中間市消防本部救助隊。こうしたコンペティション(競技会)は有志による私費参加が一般的であるなかで、公費参加実現にいたった過程と、そこに込められた関係者の思いを紹介する。

中間市消防本部
ロープレスキューのあゆみ


2003年ごろから、福岡市消防局や札幌市消防局で都市型ロープレスキュー導入の動きがあり、中間市消防本部においても独自に情報収集に着手。現大塚救助隊長を中心に、有志による講習会参加や自主研修などで下地を築いていた。
ロープレスキュー資器材が正式に導入されたのは2011年で、配備が認められた背景としては、日ごろから隊員が私費で講習会に参加するなど、自主的な研究に励んでいたことも大きい。
さらに法令の改正によって高所作業時のフルハーネス・墜落制止用器具の使用が義務化され、資器材の整備、個人レベルでの技術習得の動きも活発化。組織内でのプレゼンテーションやSNSを通じた積極的な情報発信もあって、現在の流れにつながった。

タイミングを逃さず
思いを形に


ロープレスキュー資器材配備にとどまらず、公費でのコンペティション参加までを実現できた要因として、まずは「自己研鑽」にはじまり、それから「先輩後輩を巻き込んできた」こと、「機会あるごとにアピールを続けてきた」こと、そして「タイミングに恵まれた」ことを大塚隊長はあげる。思いを言葉にし、行動で見せることで周囲の意識を変える。この地道な継続が今の状況につながった。

市職員の自主的な研修活動をサポートする「中間市自主研究グループ活動支援制度」でのプレゼンテーションの機会を利用するなどして、それまでの取り組みをアピール。福田健次市長からの後押しもあり、市のバックアップ機運醸成につながった。とくに市長は訓練に励む職員の姿を日常的に見て感銘を受けており、追い風の旗頭ともなった。

公費参加がもたらす
変化とは?


1公務として訓練が行えるように

それまでは有志としての自主参加だったため、コンペティションへ向けた訓練は勤務時間外に行わざるを得なかったが、公費参加となったことで効率的な訓練が可能となり、士気も上がった。また、それまでは自主参加組とそうでない隊員の間に意識の差もあったが、公務となることでその溝も埋まり、部隊としての一体感はより強固なものとなった。

2所属名表記の入った装備で参加

「SPEC×縄救2024」で想定に臨む中間市消防本部チーム。公費での参加ということで、隊員たちの意見も鑑み、下はオレンジの救助服、ヘルメットも所属名が入った正式装備品での参加となった。
将来的には国内最大規模のロープレスキューコンペティションに“中間市消防本部救助隊として”参加し、上位獲得を目標としている。

3現場活動にそのまま生きる
技術を錬成

コンペティションでの災害想定は実際の災害現場にも通じる。部隊として参加することで、使用する資器材や連携も含めたすべてが実際の現場活動への教訓となり、生かされるメリットは大きい。

ロープアクセス技術を習得することで、隊員一人で展開できる活動の幅が広がった。

対応の幅が広がったぶん、資器材の種類や数は増える。ロープレスキュー関連の装備資器材は、救助工作車の右側収納庫に整理して積載される。

隊員が自信を持って
現場活動に臨むために

私が救助技術の習得に励んできた意欲の根源は「市民のため」「所属のため」です。ロープレスキューについても同様で、まだ所属にない技術体系を取り入れることで、より多様な現場活動に結びつけることが目的でした。とくに2020年の「GRIMP JAPAN」の見学は個人的に衝撃で、そこで見た参加チームの技術は、指揮や連携も含めて、私にとって救助活動の可能性を大きく広げる新しい発見となりました。
これまでも、個人で参加した講習会の内容を共有したり、資器材の導入を働きかけてきたりしましたが、どうしても隊員間で意識に差があったりしたことは否めません。今回、公費でコンペティションに参加することになり、一番変わったのはそこで、本番ともなると隊員たちの目の色が違いました。このモチベーションの変化は「競技であること」もさることながら、「公務であること」も大きな要素だと感じます。
意識が向上することで技術の吸収力が上がり、より自信を持った現場活動が展開できる。それがひいては市民への還元になるというのが私のめざすところです。まずはこの良い流れを途切れさせることなく、しっかりと維持していくことが隊長としての私の務めだと思っています。

中間市消防本部
大塚 啓史 救助隊長

中間市消防本部救助隊長。ロープレスキューに限らず、多方面からの救助技術習得に公私にわたって励み、組織としての災害活動能力向上に尽力。インストラクターとしての台湾派遣や海外支援事業でのスリランカ派遣など、海外での活動実績も持つ。


現場のがんばりに
それぞれの立場で応えたい

民間主催の競技会への参加に公費を使うかどうかは、それぞれ考え方があると思います。中間市消防本部としては、技術の向上につながる職員の活動を予算の範囲で認めていきたいというスタンスであるわけです。
現場の職員たちがのびのびと活躍できる環境が組織の活性化につながり、災害対応力の強化へと実を結んでいく。今回の取り組みがその一助になることを願っています。

中間市消防本部
波多野 暢俊 総務課長

フットワークを生かして
新しい取り組みに挑戦
〜中間市消防本部〜

中間市は九州、福岡県の北部に位置し、管轄人口はおよそ4万人。消防本部の職員数は56名である。
規模的に大きな本部ではないが、それが奏功して組織内の意思決定におけるスピードが早く、人数分をそろえる必要がある装備資器材にかかるコストも低く抑えられるため、新しい試みが実行しやすいという。

庁舎の眼前には一級河川の遠賀川が流れる。基本的には静水域であるが、増水時に備え流水環境での対応力も強化中。

消防本部の各部署ごとに色分けされたエンブレム。デザインされているのは中間市の公式キャラクターである「なかっぱ」。

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