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2018.4.16

消防活動・訓練・その他活動
救助訓練 ロープブリッジ救出訓練指導者

【第2回 本番で失敗しない練習】
~ロープブリッジ救出訓練指導者~連載企画

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前・横浜市消防局旭消防署 都岡特別救助隊 消防司令補
山崎 浩司氏

人命救助の最前線を担う特別救助隊。その磨き上げた救助技術を競い合う“消防レスキューの甲子園”、全国消防救助技術大会へ二年連続の出場を果たした都岡特別救助隊に密着し、指導する隊長の熱い想いをうかがった。

-第2回- 本番で失敗しない練習

視点は常に自分たちに向ける

全国大会出場を目標にしたとき、”勝つチームづくり“ではなく”負けないチームづくり“が必要だと、前回お話ししました。

この二つは似ているようで違います。負けないチームは負けないためにどうすべきかを考えます。その視点は、常に自分たちに向いていなければなりません。勝つチームづくりは相手ありき、負けないチームづくりは自分ありき、です。要は、自分たちが失敗しなければ結果は必ずついてきます。

失敗の原因は急ぎすぎ

負けないためにどうするか、ですが、これは本当に単純です。失敗しなければいいのです。救助訓練はすべて引き算。持ちタイムから失敗でロスした時間を引いたものが結果ですから、ミスを減らせばタイムは自然に伸びます。

毎日練習しているのに、失敗してしまうのはなぜでしょう。失敗は主に自分が思っているように体が動かせていないことが原因です。ならばスピードを落とさなくてはいけません。まだそのスピードでやる実力がないのだと受け入れることです。代わりに一つひとつの動作を確実に一度で終わらせるようにする。例えば失敗が多いのはカラビナの扱いですが、カラビナを二度回すと0・3秒のロス。ちなみに横浜市の訓練会で次に進むチームと進めないチームのタイム差は毎年0・1秒から0・2秒です。速く見えないのに良いタイムを出すチームというのは、すべての動作をロスなく一度で決めるチームだと思います。

われわれ都岡特別救助隊は昨年、渡りの練習で一日150往復を目標にしましたが、その目的はスピード向上だけでなく、ミス防止の意味も含まれます。渡りの数をこなしておけば同じタイムでも余裕を持って渡れるようになり、その後の要救助者結索や2番員のダブルカラビナ操作のミスが減らせるのです。

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第38回全国消防救助技術大会での山崎隊長


想定外も想定内にする練習

私が指導する際、「集中しろ」とは決して言いません。それどころか、わざと集中させないようにイレギュラーな状況をつくることさえあります。練習中、集中している選手に不意に話しかけたり、並べてあるカラビナの向きをこっそり変えておいたり…。人間は想定していなかった状況にはとても弱いもので、当然選手は戸惑いミスを誘発するわけですが、本番で何か想定外のことが起きない保証はありません。ましてや現場は想定外の連続です。そんなときにもパニックにならず冷静に対処できてこそ、本当の実力と言えるでしょう。ですから練習の段階から「何があるかわからないよ」と意識づけし、危機感を持たせておく。それを繰り返し行えば、何かイレギュラーなことがあっても反射的に対応できるようになります。集中力を養う練習の先にある、集中力を削がれても失敗しない練習をするのです。

そして練習ではどんどん失敗すればいいと思います。失敗は最適なリカバリー方法を見つける良いチャンス。どんなときに失敗したかを学べば、次からは失敗する前に対応できる。繰り返しになりますが、速いチームではなく、うまいチームをめざしてください。

“キャプテンはあえて最年少に”

私のチーム編成は完全実力主義。隊のなかでタイムをとり、そのときのベストメンバーでチームを組みます。昨年選ばれたからといって今年も選抜されるわけではありません。だから全員が向上心を持って取り組んでいます。そしてキャプテンは最年少を指名し、練習内容もそのキャプテンに決めさせます。最年少ですから必死に考える。考えることで人間は成長します。精神面でより強くなっていくのです。

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本番を前に選手にアドバイスを送る山崎隊長



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