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2025.4.29

ロープレスキュー ここが知りたい!
ロープレスキュー ここが知りたい ロープレスキュー

【第23回 ロープレスキューは、次のフェーズへ2】
〜連載企画 ROPE RESCUE COLUMN ロープレスキュー ここが知りたい!〜

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連載企画 ロープレスキューコラム

前号では、ロープレスキューを取り巻く環境の変化についてお話ししました。今回は、皆さんがもっと興味がありそうな資器材や技術の変化についてお話しします。

皆さんがご存知のとおり、ロープレスキューでは滑車などの資器材とシステムを使い、人間の力を効率的に変化させて救助活動を行なっています。しかし、よく考えてみてください。消防活動や救助活動において、大きな力を人力で負担しているものはほとんどないはずです。
たとえば、腕用消防ポンプが現役の消防本部はないでしょう。油圧資器材も、手動式を主力に据えている消防本部はありません。ノコギリも各種の動力ソー・カッターですよね。救急活動においても、吸引機は電動ですし、電動心マ機や人工呼吸器、電動ストレッチャーの配備も進みつつあります。
では、なぜロープレスキューはいまだに腕力に頼っているのでしょうか?答えは単純で、まだこの分野は歴史が浅く、マーケットが小さいため、電動機材の需要が見込めず、開発・販売するための知見や投資が少なかったからです。
そして、この数年はロープを電動で巻き上げる機材が多く発売され、今後のロープレスキューシーンに大きな変化が生まれる兆しを見せています。

なぜ動力化が必要なのか

現在のロープレスキューシーンにおいては、技術力はもちろん体力的に優れた若い男性消防職員が主力となっています。何十メートルものロープを登はんし、200kg近い担架を引き上げるためには高い身体能力が不可欠です。三つ打ちロープよりは省力化できますが、それでも身体的負担が大きいのは否定できません。
しかし、消防職員の高齢化は確定事項です。人口減少により従来のような採用は見込めません。また、女性の活用は人材の質を担保するうえで不可避です。こういった情勢のなかで、若い男性の平均以上の体力に依存した救助技術に未来はありません。
腰の悪いおっさんでも、小柄な女性職員でも、体力が平均レベルの男性職員であっても、問題なく200kgを引き上げられるのなら、そうあるべきなのです。

ロープレスキューは高度化へ

技術革新により省力化が進むことで、ロープレスキューはより高度化することができます。「高度化」というのは、これまでであれば救出不能だった困難事案に対処できるようになるというだけではありません。これまでであれば考慮することができなかった、現場での医療処置や安定した搬送、隊員や要救助者のさらなる安全性の向上が可能になります。
たとえば、テンプレートな転落事案・引き上げの想定であれば、3名が降下して全身固定を行い、うち2名が自力登はんして引き上げに参加する必要がありました。今後、動力化が進めば、たくさんの救急用・救出用資器材を持った隊員を降下させ、本人または少数名の隊員の操作で簡単に戻ってくることができるようになります。5〜6人が降下して活動し、手早くGL(グランドレベル)に復帰することも可能になります。

では、具体的にどのような製品があるのか、執筆時点(2025年2月)で私がお勧めできる製品を紹介します。

HARKEN ロックヘッドウィンチ

HARKEN ロックヘッドウィンチ

目新しい商品ではありませんが、今のところもっとも信頼性の高いものです。ハンドルにより手動で巻き上げる構造で、ハンドルの代わりに電動ドリルを使用して、楽に巻き上げることができます。
回転するドラムにロープを3〜5周巻きつける構造のため、ロープへのダメージが少ないのが大きなメリットです。林業や船舶で使用されるのと同じ部材を使用しており、メンテナンス性や悪天候化での使用、大きな負荷が想定される場合に有効です。
三脚に取り付けるためのマウントが付属しているほか、降下モードがあり、ロワリングも簡単にできます。ロープは13mmまで使用可能なので、所属を問わず使用しやすいでしょう。
難点としては高価(60万円以上)なことと、重量がかなり重たい(ドリルを含めると10kg以上)ことです。

AWAH Z2-R

AWAH Z2-R

中国で開発され、アメリカや日本でも非常に販売数の多い「ドリルパワードプーリー」です。その名のとおり、電動ドリルで巻き上げることを前提に設計された滑車、という扱いになります。価格が20万円未満であることと、非常に軽量コンパクトであることが特徴です。

AWAH Z2-R

40Vドリルと組み合わせることで二人荷重を楽々と引き上げられるだけでなく、個人資器材としても苦にならないサイズ感です。
デメリットとしては浸水に弱いらしいことと、小さなプーリー部分でロープを保持しているのでロープに局所的な高負荷がかかること、降下モードがついていないので上げ下ろしの切り替えに多少のロープ技術が必要になることが挙げられます。
中国製という部分に引っかかる方もいらっしゃるでしょう。ただ、欧米製のロープ資器材が為替や輸送コストの影響で、本国の販売価格より大幅に高い価格設定となっている現状があり、費用対効果を踏まえると検討の余地があろうと思います。

ここで紹介した以外にも、中国を中心にいくつかの製品がリリースされています。おそらく、今後は欧米のメーカーも同様の製品の開発を進めてくるでしょう。いま販売されている製品の購入を急ぐ必要はないと思いますが、これからの5年程度でロープレスキューにおける資器材や戦術は大きく変わる可能性を見越しておいた方が良いでしょう。車両更新などでロープ資器材を大量購入する予定がある本部では、車両メーカーと相談したり仕様書を工夫して、製品のモデルはあまり早くに決めてしまわない方が良いでしょう。

消防・救助・救急の技術は、日々進歩していきます。アンテナを高く掲げて、ぜひ常に最善をめざしていただきたいと思います。ご安全に!

大西 隆介(おおにし りゅうすけ)

大学時代に公共政策を学び、山岳部などの経験からロープレスキューの世界へ。日本の労働安全法令を踏まえつつ消防組織に適した救助技術を研究している。救助大会「縄救」などのイベントも主宰。通称「ジミーちゃん」

office-R2 ロープレスキュー講習主に10.5mm〜11mmのロープ資器材を用い、国内法令に準拠しつつ、現場に即した技術を重視。高所作業や競技の技術ではなく、消防活動におけるベストを提案する講習。レベル1〜2では「ロープ高所作業」「フルハーネス」の特別教育修了証が交付される。講習などの情報はHP、Facebook、Instagramなどで随時更新。

お問い合わせ090-3989-8502

ホームページ
https://r2roperescueropeacce.wixsite.com/office-r2

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