2015.9.1
神戸市消防局の消防車両
神戸市は世界有数の港を擁し、東西に市街地が広がっています。その背後には六甲山地といった山林や北神地区の農村部が広がり、さらに、港湾部には工業地帯や石油コンビナートを抱えるなど、都市構造が凝縮された街であると言えます。こうした環境に対処するため、神戸市消防局では車両総数237台、消防ヘリ2機、消防艇2艇といった多種多様な消防機械装備をラインナップ。約1500名の職員がこれらを駆使して、神戸の安心と安全を守っています。ここでは神戸市中央消防署に配置された車両を中心に、同市の代表的な消防車両を紹介します。
化学消防ポンプ自動車II型
車体番号「中央13」。1300Lの水と500Lの消火薬液を積載し、危険物火災等で泡消火を行うことができる。中央消防隊の基幹装備であり、通常の火災現場ではタンク車と同様に活用する。神戸市ではタンク車の配備台数が少なく、化学車を多く配置している。また、消火系車両はあえて従来からの露出型構造を採用しており、現場活動の迅速性を確保している。
平成18年度製作
車上には化学車の象徴とも言える放水砲(手動式)が備わる。
左:ガラス管式の水量計1本と、薬液用の液量計2本が並ぶ。中:化学車特有の各種バルブが備わっている。
右:ポンプ操作盤の下には、即消ボックスを備える。ポンプ操作盤は、基本的に左右同等のレイアウトとなっている。
大型化学高所放水車
従来は中央消防署に、3点セットのうち高所放水塔車「中央20」と大型化学車「中央24」の2台が配置されていたが、車両更新に伴い1台に機能を凝縮した大型化学高所放水車へ仕様変更した。塔体は従来の2段屈折式から4段伸縮式とすることで、車両のコンパクト化が図られている。後部には加納式ホースカーも積載。
平成26年度製作
はしご付消防自動車
神戸市消防局では50mはしご車を2台保有し、そのうちの1台が中央消防署に配置されている。車体番号は「中央18」で、ビルの15階に相当する高さまで対応する。はしごの構造は、6段のはしごが積み重なった6連構成トラス組立。同市では他に30mタイプと15mタイプのはしご車、直進型とデッキ型の高所活動車などを保有している。
泡原液搬送車
4000Lの泡原液(消火薬剤)を搬送する専用車両で車体番号は「中央23」。従来は中央消防署栄町出張所に配置されていたが、車両更新に伴う2点セットへの構成変更により、大型化学高所放水車とともに中央消防署へ配置転換となった。後部には箱型積載庫を備えており、その上に耐熱服がケースに収められた状態で積載されている。
泡原液ポンプの給油、配管の空気抜き、バルブ類の開閉をワンタッチで操作できる「自動送液制御システム」と「タンク残量監視システム」を搭載。
左側面には泡原液を送り出すポンプとタンクをつなぐ配管が見える。大型化学高所放水車とケーブルなどで接続することで、両車のタンク残量を確認しながら自動送液することが可能。
高規格救急車
平成20年度製作
中央救急隊では車体番号「中央90」と「中央95」の2台で運用を行っている。神戸市の高規格救急車は全てトヨタ・ハイメディックで、市外搬送などの機会も多く、所属先をはっきりと明示するため、本部名である「神戸市消防局」の文字が大きく入れられている。
救助工作車II型
平成25年度製作:長田消防署配置
長田消防署に配置された専任救助隊が運用する救助工作車。側面に大きな「鷲」のモチーフが白色で描かれている。平成26年度に製作された北消防署配置車両はハイルーフ仕様となっており、兼務救助隊はポンプ搭載型を運用している。
消防ポンプ自動車CD-I型
平成19年度製作:中央消防署山手出張所配置
中央消防署山手出張所に配置された車両で、車体番号は「中央3」。神戸市ではCD-I型を小型ポンプ車と呼称しており、狭隘路などにも進入できる機動性を活かして消火活動にあたる。
SUMMER 2015/FIRE RESCUE EMS vol.70