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2019.6.20

消防ヘルメット
消防ヘルメットコレクション FIRE HELMET COLLECTION

命の絆No.58 デンマーク オールボー市 織物工業連合体消防

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命の絆 消防ヘルメット

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.58 デンマーク オールボー市 織物工業連合体消防
スティール製M-23型ヘルメット

 
オールボー(AALBORG)市はユトランド半島北部のリムフィヨルドに港を開き、漁業やテキスタイル関連企業等で発展してきた。人口は11万人弱で、デンマークでは第4番目の規模の都市である。第二次世界大戦中の1940年4月9日には、ドイツ第三帝国のナチス軍空艇部隊によってオールボー空港を占領され、以降北欧のノルウェーやスウェーデン侵攻の足がかりの地となった歴史を持つ。終戦後の1945年5月からはイギリス軍の軍政下で復興が始まった。

この国の消防体制は、それぞれの自治体ではボランティア及びファルク(FALCK)警備会社が、首都コペンハーゲン等では常設消防組織が対応している。これが第一段階で、それ以上の応援出動体制は「ナショナル型」とでも表現すべき、応援要請によって24時間待機をしている国家機関が出動する二段階制となっている。一方、工場等には自衛消防隊が編成されていて、背景には陸海軍及び民間防衛組織(シビルディフェンス)がある。第二次世界大戦中に辛酸を舐めさせられたゆえの、国土防衛への高い意識が、こうした組織体制につながっていることは明らかだ。

今回紹介する消防ヘルメットは、前述の軍隊及び民間防衛組織用として作られた「DANISH 1923-41」。ミリタリーの頭文字「M」と生産開始の1923年を表す通称「M-23型」ヘルメットである。スウェーデン鋼で一体プレスされた防弾性能に優れたヘルメットで、一見して実用性重視。民間防衛組織用のモデルはやや鋼板が薄いとのことであるが、これは帽体内の皮革製ライナーに印字された数字で判別できる。「1」は軍隊の小隊用、「5」は分隊用で、「3」が会社や工場用である(ただし、このヘルメットには「1」が印字されている)。重量は1.15キログラムあって、慣れないと首に負担を感じる重さである。

このヘルメットを正面から見ると、左右が張り出して下方へ垂れていて、帽体は丸味が強い。帽体内ライナーやハンモックは皮革製で、あご紐も同様である。正面標識は円形の金属製紋章を中央に配し、下部に「D.F.T.A.」の文字がある。「DANSK FACTORY of TEXTILE ASSOCIATION」の頭文字で、織物工業が集まった連合体消防組織のヘルメットであることがわかる。

このヘルメットは1990年3月23日、デンマークのオレ・ハザンド・ヤンセン氏から贈られた。軍隊でも使用されたモデルであることから、世界の軍帽コレクターも気がかりな逸品であろう。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



07|08 2019/FIRE RESCUE EMS vol.86

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