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2022.8.26

消防ヘルメット
消防ヘルメットコレクション 消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION

命の絆No.76 フランス バ・ラン県ストラスブール市消防

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命の絆 消防ヘルメット

消防ヘルメットコレクションNo.76

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
命の絆No.76 フランス バ・ラン県ストラスブール市消防
プチ・コリンズ1960モデル エステル樹脂製カスケ

 
フランス北東部旧アルザス圏(現グラン・テスト圏)のバ・ラン県は10市町村で構成されている。県庁所在地であるストラスブール(STRASBOURG)市は人口27万人強、面積79平方キロメートルの規模で、大河ライン川中流域左岸の河川港として織物業で栄えてきた産業の町である。ロマネスク様式のストラスブールノートルダム大寺院や木組が美しい家々が並ぶ水の都は世界遺産としても人気が高く、小さなフランス(プチフランス)とも呼ばれている。なお、消防体制は自治体消防である。

この地はかつてアルゲントラトウム(ARGENTORATOM)と呼ばれた古代ローマ帝国の一部であり、ライン川をゲルマンとの国境にしていた。4世紀からキリスト教司教座が置かれるなど地勢的に重要な土地であり、フン族の侵略を受け破壊された時代もある。その後神聖ローマ帝国の統治下で自治集団が反発し、1262年にハクスベルゲンの戦いで司教座の軍を破って自由都市となったものの、川向かいのドイツ、ケールやプロイセン王国との争いで所領が入れ替わり第2次世界大戦中ようやくフランス領となった。

紹介するヘルメットはパリ市のプチ・コリンズ社が1933年モデルであるカスケ・ボールの材質をステンレスからエステル樹脂にして、1960年に実証実験を経て完成したものである。シルバーグレー1色のヘルメットはプチ・コリンズ(petit collins)カスケと呼ばれ、1967年にストラスブール市消防に採用された。カスケ1933モデルのシルエットを踏襲して一体成型された帽体は、正面三角形の下辺が少し広めという違いがある。ライナー、ハンモックは軟質樹脂、あご紐は皮革でできており、650グラムと軽量なため首や肩への負担が少ない。各部の反射テープは右側が白、左側が赤、後ろ側が上から赤白となっている。これはストラスブール市の紋章である白地に赤縞が描かれた盾を表しており、かつての神聖ローマ帝国の紋章である赤地に白縞の盾とは逆のデザインである。

中央の立派な合成樹脂製エンブレムは他の自治体とは異なり、市の紋章を真空蒸着で華やかな金色に仕上げたもの。後足で立ち上がった2頭のライオンが斜めにリボンの走る盾を支え、上部にある冠には花が取り巻くように広がりきらびやかである。長い歴史のなかで培われたさまざまな事象を凝縮している紋章はコートオブアームズ(Coat of Arms)と呼ばれ、現在使用されているガレF1ヘルメットの正面にも輝いている。

このヘルメットは1989年8月12日、市の消防士フィリップ・カウフマン氏から贈られた。フランスらしいセンスを感じさせる軽やかで華麗なヘルメットである。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
戦闘用の兜をルーツに持つヘルメットの目的は、衝撃から頭部を守り、直接的な負傷を防ぐためにあるが、国によりさまざまな特色を見せ、性能やそれにともなう形状、デザイン、用いられる素材は時代や環境とともに進化を遂げ続けている。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

消防におけるヘルメットとは、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在である。災害現場では突如倒壊物が襲い掛かってきたり、足場の崩れ、転落の危険に晒される。もし頭を打ち意識を失えば、要救助者の生命は守れない。隊員自身もさらなる悲劇に見舞われないとも限らない。消防ヘルメット一つひとつにはストーリーが宿っている。世界の消防が使用した「ヘルメット」から、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



09|10 2022/FIRE RESCUE EMS vol.104

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