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2021.1.12

消防本部・消防署
緊急消防援助隊 X FIRE REPORT

FIRE REPORT #156 名古屋市消防局 名東消防署

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迅速性とアピール、バイク隊の二つの役割

高速道路のインターチェンジやジャンクションがあり、名古屋の東玄関として交通の要衝となっている名東区。災害対応における初動対応までの迅速性、車列渋滞を回避する機動性を確保するため令和元年7月に消防活動二輪車「赤鯱」の運用を開始した。
「悪路での走破性・乗りやすさを重視しながら、施設課と搭載資機材・安全性を協議した。運転技術を教養するためのノウハウがなかったことから、人選をはじめどれくらいの教養訓練を行い、どうやって運転技術を向上させていくべきか、一から考え現在の運用に至った」と市村消防司令補。バイク隊は 現在計9名、2台で構成されている。
林消防司令補は「舗装路・砂利道等の悪路走行ができる県内の研修施設に行き、計2日で次世代育成をポイントに受講し訓練基盤をまとめた。また、愛知県警交通機動隊等の指導を受けて走行訓練を行うなど、技量向上に努めている」「発生が危惧されている南海トラフを震源とする巨大地震はもとより、普段の出動でも我々にしかできないことが何かないかと日々部隊内で考えている」と語ってくれた。

出動の割合的には高速道路の事案が多い。救助隊が到着するまでの間に赤鯱に積載している油圧救助器具を使って救出作業に取り掛かり、そのあと救助隊に引き継いで作業がスムーズに運んだ事例もある。ただ、現場では消防車と同着することも多く、その際は消防隊と同じ活動となる。
名東消防署がインターチェンジに近いこともあり、高速道路関連のマップは車両タンク部分に見やすく配置してある。部隊認識と市民への認知度アップのためのワッペンには、しっかりと赤鯱がデザインされている。

市民からのTwitter投票によりバイクの愛称は『赤鯱』となった。投票数250件を超えるなか、210件の圧倒的な支持を得て決定した。運用開始から1年以上が経過。「イベント等で親子連れの保護者の方が『赤鯱って名前だよ!カッコいいね』とお子さんに話されているのを見るとホッコリします。消防ファンの方が写真を撮りに来られたりするなど、少しずつ認知度は上がってきていると感じます」と小池消防士長

ヘルメットには名古屋のシンボルである「金のシャチホコ」を現役消防官がデザイン。市民の方が見たときに親しみがあり、かっこいいと思われるようなデザインを狙った。名古屋駅に2台配備されている本部第一・第二救急隊「MEDIC ONE NAGOYA」のパラメディックバンとの調和も考慮されている

新たなドローン運用までの経緯、
そして次なる課題

令和2年10月より、名古屋市消防局では2機目となるドローンの運用を名東消防署で開始した。運用開始まで約2カ月と限られた時間であったが、平成30年3月から災害現場での情報収集能力の向上を図っており、消防部消防課員による1機目(MATRICE 200)の検証運用も功を奏し非常に効率的な運用に繋がった。「通常業務に加え、操縦者の教養及び訓練時間を設け養成していくことが当初の課題であった。指導については局内にいる外部ドローンスクールで教育を受けた職員を講師とし教養を実施した。また、座学として関係法令、飛行原理、気象等について学び、実技として10時間の訓練飛行を行った。現在は日の出から日没までの運用体制である」と上地消防司令補。
ドローン操縦者の山田消防司令は「練習機も含め全員が初心者だった。情報収集能力に感動したが、その何倍もの緊張を覚えた。人命捜索・救助のために飛ばすドローンが自分たちの操縦技術が足りず、落下するようなことは絶対にあってはならない。任務に基づいた操縦ができて当たり前なので、生半可な覚悟ではできない」と話す。また、部隊の共通認識として徹底しているのが、「快晴であってもビル群や上空の状況は違う。操縦者として安全を第一に、明確な理由をもった上で『飛ばせない』という判断も必要となる。また、機械なのでその度ごとに、現場での機体設定を入念に行っている」と続ける。同じく操縦者の中川消防司令補は「事前検証があったため短期間ではあったものの運用開始はスムーズであった。検証データについても引き続き収集している。全員でドローン有効活用の場を模索することに努めたい」と意気込む。
今現在は、第一世代として教養及び訓練を受けてきた2チーム計6名構成(取材時点)で任務にあたっているが、次世代の育成を急務とし、ドローンの情報収集能力に期待を高めている。

写真左)ドローンの低空挙動確認飛行を行う中川消防司令補。3名1チームで機体の状況など細かくモニタリングしながら指差呼称する
写真右 左から)消防課計画係の市村消防司令補と上地消防司令補。バイク隊運用を担当する市村消防司令補はプライベートで自動二輪免許を取得しており、赤鯱のベースとなったYAMAHA SEROW250の走破性・乗りやすさを身をもって体験済みであった

競技会方式で県下消防力のレベルアップをめざす!
「愛知県警防技術交換会」

愛知県内の消防本部では、迅速・安全・確実に災害対応を遂行するために平成15年度より警防技術交換会を行っていたが、令和元年度からはさらなる相互連携、消防隊員個々のスキルアップを図り競技会方式の実施を試みている。
平成24年度から7年間で緊援隊応援派遣時における円滑な連携強化を目的として、各ブロック指揮隊1隊、救助隊2隊、消火隊2隊の計5隊で中隊単位の震災救助訓練を実施。これまでの取り組みで一定の成果を得られたため、あらたに基本的警防技術訓練(ホース延長及び三連はしご架梯等)の所要時間、確実性を審査する競技会方式が採用された。消防は市町村単位の組織だが、南海トラフ地震等の大規模災害に備えて県下消防本部が一丸となり、総合的なレベルアップをめざす。
実施して感じた参加隊員の変化としては「何より、緊急消防援助隊愛知県大隊としてともに『活動するんだ!』という気持ちがまとまってきた。最優秀となるには迅速性、確実性、組織としての取り組み方(チームワーク、訓練に対するバックアップ体制等)が重要。今後も実施ごとに内容を見直しながら継続し、愛知県の消防力を向上していきたい」と消防課消防係の熊﨑消防司令補は振り返り述べる。

競技会方式となり、愛知県下34消防本部のなかで初の最優秀賞(タイム159秒)に輝いた名古屋市消防局Aチーム
写真 左から)清水消防司令補[指揮者]、藤原消防士[2番員]、中畑消防士長[1番員]


競技の隊編成は指揮者1名、隊員2名の計3名。消防活動の基礎的要素で構成される
①防火衣・空気呼吸器着装

②ホース2本延長し、放水による標的(2個)を落下

③三連はしごによる2階屋内進入
④進入後ロープによるホース(管鎗付)引き揚げ及びホース落下防止設定

⑤エンジンカッターで約50ミリの単管パイプ切断
⑥要救助者搬送
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