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2016.1.5

消防ヘルメット
消防ヘルメットコレクション FIRE HELMET COLLECTION

命の絆No.44 イギリス・マージィサイド州 リバプール・サルベージ・コープス

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命の絆 消防ヘルメット

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

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イギリス・マージィサイド州 リバプール・サルベージ・コープス Helmet社F135カウンティ型コルク製ヘルメット

イングランド北西部のアイリッシュ海に面し、マージィ川河口に発展したリバプールは、1795年に市議会堂が、また、1833年にはランスロット地区での大火災に見舞われた。1834年になって警察組織に消防部門が設けられた。しかし、港湾施設の倉庫での火災や、アイルランドやスコットランドからの住人の流入が多かったことから宿屋での火災が頻発するなど、財産の損失は莫大なものとなっていた。こうした背景の下、リバプールの議会や有力者によって、海上輸送に伴う船舶の座礁、沈没、船上火災、衝突等から船舶・積荷の損害を填補するインジュランス(保険)を陸上施設にも適用させようという声が高まった。こうして誕生したのが、いわゆる火災保険だ。1842年に誕生した「リバプール・サルベージ・コープス」と呼ばれる組織は、火災現場に駆けつけて消防業務に従事して、火災被害や水損被害の軽減を図るもので、いわば民間の消防隊といえる。しかし、活動対象が限られており、保険に加入した契約先の建物に限って消火活動や水損防止のための防水シート掛け、火災現場への立入制限や現場での盗難防止の看視を実施した。この組織は他の都市へも影響し、1865年にロンドンで、1873年にはスコットランドのグラスゴーでも「サルベージ・コープス」として消防隊が編成されたのである。

警察機関の消防部門が装備の強化を進める中、サルベージ・コープスでも水桶から腕用ポンプ、馬引きの蒸気ポンプ、ついには消防車両の配置へと発展させていった。消防装備が充実する一方で、火災現場で殉職する者もあり、消火・救出活動の困難さも指摘されていた。そして第二次世界大戦に入ると、リバプールは空襲を受け、たびたびの大火災も発生。当時の防空消防体制として「ナショナル・ファイア・サービス」及び「オージャリー・ファイア・サービス」と共に活躍。リバプールを北部・中部・南部の三方面に区分して、契約先に対する消防活動を行っていた。

第二次世界大戦後も戦中と同じ活動を継続する一方、公的消防機関は1948年4月1日から「リバプール・ファイア・サービス・ブリゲート」として新たに出発。1974年4月1日にリバプールなどの周辺市町村を含む地域が「マージィサイド州」へと格上げされたことに伴い「リバプール・ファイア・アンド・シビルディフェンス」となり、管轄対象地域がリバプール、バーケンヘッド、ブートル、サウスポート、セントヘレンズ及びワラジーに広がった。そして、2004年7月22日には消防組織名称を「マージィサイド・ファイア・アンド・レスキュー・サービス」として今日に至っている。公的消防機関が消火・救出活動を専業としたことから、「リバプール・サルベージ・コープス」については、火災現場への機材搬送と現場保存、立入警戒などに限定して行われることとなり、ついには1984年3月31日をもって、142年にわたる歴史に幕を閉じ、組織解体されることになった。

今回紹介するヘルメットは、「リバプール・サルベージ・コープス」にて用いられていたヘルメット社のコルク製F135型「カウンティ」で、当時多くの自治体消防でも使われていたモデルだ。帽体は白色で、サルベージ・コープス章は消防八稜星の中に「海藻をくちばしで咥えた鵜」を配する「再生」を意味したもの。リバプール・サルベージ・コープスのサブ・オフィサーの任についていたロンJグレーブ氏から1984年10月25日に贈られたもので、当時のイギリスは不況の真っ只中。解体となったこのサルベージ・コープス社員の多くは公的消防機関の職員として採用され、長年の経験を活かしての消防活動についたとのことである。 

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。特徴的なデザインには様々な機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。  
災害現場という場所は何が起こるかわからない。突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。

WINTER 2016/FIRE RESCUE EMS vol.72
 

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