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2022.8.29

ロープレスキュー ここが知りたい!
救助訓練 ロープレスキュー ここが知りたい

【第12回 ビュッフェスタイル 定食スタイル】
〜連載企画 ROPE RESCUE COLUMN ロープレスキュー ここが知りたい!〜

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連載企画 ロープレスキューコラム

皆さんはロープレスキューの資器材をどのように積載していますか? 今日は僕の資器材の収納方法を紹介してみたいと思います。

皆さんは写真のようにプーリーならプーリー、カラビナならカラビナというように同じ資器材ごとにまとめて収納しているのではないでしょうか?

ビュッフェスタイル

多くの消防本部でロープレスキュー資器材を見てきましたが、ほとんどでこういった収納方法が見られました。
僕はこのような方法を「ビュッフェスタイル」と呼んでいます。このスタイルは、どこにどんなものがあるのか一見してわかりやすく、好きなものを選んで取りやすく、どのぐらいの数があるのか把握しやすいです。つまり、ゆっくりできるのであれば管理しやすいというメリットがあります。
一方で、選ぶのに時間がかかるほか、実際に必要なものを取り忘れたり、逆に取りすぎたりすることもあります。これは1秒を争うような消防活動においては合理的ではありません。また、どういうシステムでどのくらいの資器材が必要になるかがイメージできていないため、多め多めに資器材を持っていこうとするクセがついている可能性があります。それ本当に使うの? ってくらい大量のテープスリングやウェビング、カラビナを詰め込むような傾向があれば要注意です。

基本資器材バッグ01
基本資器材バッグ02

上の写真は、僕が講習で使用している基本資器材バッグです。防水性のあるロープバッグに100mのロープ1本とエッジパッド、エッジローラー、基本的な活動で必要になる資器材をまとめたギアバッグが収められています。まったく同じ内容で、ロープの色だけが違うバッグとともにペアで運用しています。

【ギアバッグの中には以下のものが入っています】

  • 引き上げ・降下用器具(クラッチ)
  • アンカープレート
  • 5倍力セット(ダブルプーリー+センダー)
  • 3倍力セット(シングルプーリー+センダー)
  • シングルプーリー×2
  • 支点作成用カラビナ×5
  • 巻きつけ用養生×2
  • 2mの調節型アンカースリング
  • 外皮付テープスリング〈60cm/120cm〉
  • アラミドコードスリング〈30cm/60cm/120cm〉
  • 長短プルージック
  • エッジパッド固定用クリップ

支点作成から引き上げまで、必要になる1系統分の資器材をまとめてあります。これを僕は「定食スタイル」と呼んでいます。消防隊であればホースバッグ、救急隊なら救急バッグもこういう収納になっているはずです。救助でも同じように、即応できるように整理整頓して収納するのが良いと思います。
見ていただいてわかるように、カラビナが必要な資器材には、基本的にカラビナをセットにして保管しています。とくにプーリーや下降器具などはカラビナと分けて保管するメリットはありません。もちろん、事前に時間をかけて準備できる訓練用資器材や、高所作業の方の収納方法としては問題ありません。

この定食スタイルには即応性のほかにもメリットがあります。資器材が小分けにされていることで、数量の管理がしやすく、使用後の点検漏れ、紛失を減らせます。なお、これらとは別に、下降器・登行器・確保器・墜落制止用ランヤードなどの個人装備と、ハイラインのような大掛かりな活動や特殊な用途で使う資器材についてはそれぞれでまとめてあります。

上記の資器材を簡単に紹介しておきます。

  • 防水性のあるロープバッグ

    現場の床面は濡れている場合もあり、液体の性質によっては汚染につながる恐れもあります。ロープの濡れはコントロールに影響するため、ロープを濡らしたくありません。このバッグは自立するうえ、100mロープ+資器材を入れてもしっかり背負えます

  • 100mロープ

    基本的に50mを越える活動をロープで行うことは慎重に判断すべきですが、高い倍力を設定した場合、想像以上にロープを消費します。現場用には100mがおすすめです。伸び率が低めで、コストと重量に優れた10.5mmを採用しています

  • エッジローラー

    (101号、102号掲載)

  • エッジパッド

    引き上げ時の摩擦損失は大きな負担となります。また、ロープの切断リスクを減らすためにも必須アイテムです(102号掲載)

  • 引き上げ・降下用器具(クラッチ)

    現代のロープ救助において、引き上げと2人荷重に適応したコントロール器具(DCD)を使用するのは常識といえるでしょう

  • アンカープレート

    カラビナと活動スペース確保のため、基本的に使用しません。たまに使うので入れていますが、1枚~2枚あれば十分でしょう

  • 5倍力セット(ダブルプーリー+センダー)
  • 3倍力セット(シングルプーリー+センダー)

    これらの組み合わせで3倍~7倍力が作成可能です(98号掲載)

  • シングルプーリー×2

    高取用支点や定滑車に使用します。スイベルプーリーは設定しやすく、カラビナを開けずにロープを着脱できて安全性も高くなります

  • 支点作成用カラビナ×5

    オーバル型のアルミカラビナで、支点作成用のみスクリュー式を使用しています

  • 巻きつけ用養生×2

    ロープというよりも、支持物のほうに当てて使っています(101号掲載)

  • 調節型アンカースリング2m

    素早く、任意の長さの支点を構築できます。とっても便利です

  • 外皮付テープスリング〈60cm/120cm〉

    強度が高くヒバリをしても安心で、外皮が付いているのでやや強気に設定できます(ただし外皮が破れたら廃棄です)

  • アラミドコードスリング〈30cm/60cm/120cm〉

    細径で、支持物を締め上げるような使い方ができます

  • 長短プルージック

    ASAPなどの不調時に備えていますが、おそらくもう使うことはないでしょう

  • エッジパッド固定用クリップ

    使う機会も多いので、備えておくと良いでしょう

いかがでしたか? ロープレスキューを専門でやっていける方々であれば、訓練や検証を繰り返すなかで、方法を模索して磨き上げることができると思います。それが理想ではあります。しかし多くの部隊においては、あくまでミッションの1つであり、そこに全員が注力するのは難しいでしょう。であればこそ、パッケージ化して、わかりやすく、効率化してみてはいかがでしょうか。

資器材選定
Office-R2では組織規模や地域特性にあわせた資器材選定もお手伝いしております!

大西 隆介(おおにし りゅうすけ)
大学時代に公共政策を学び、部活では登山やクライミングに没頭した経験からロープレスキューの世界へ。日本の労働安全法令や消防組織に適した救助技術を研究している。救助大会「縄救」や「日台消防交流会」などのイベントも主宰。通称「ジミーちゃん」

office-R2 ロープレスキュー講習主に10.5mm~11mmのロープ資器材を用い、国内法令に準拠した活動を提案する講習。レベル1~2では「ロープ高所作業」「フルハーネス」の特別教育修了証が交付される。講習などの情報はHP、Facebook、Instagramなどで随時更新。

お問い合わせ090-3989-8502
ホームページhttps://r2roperescueropeacce.wixsite.com/office-r2

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